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Novel Core「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」ミュージック・ビデオ・レビュー

  ラッパーのNovel Coreが、恋愛リアリティーショー『月とオオカミちゃんには騙されない』(以下『オオカミちゃん』)で共演したFAKYのHinaをフィーチャリングアーティストに迎え、12月23日にリリースしたメジャー第2弾デジタルシングル「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」のミュージック・ビデオを公開した。



▲ Novel Core「天気雨 feat. Hina (from FAKY)」


 「天気雨」は、その曲タイトルが示すように、人の心の中にある相容れない思いや葛藤などにフォーカスした「別れの曲」。作詞はNovel Coreが担当しているが、Hinaが自分の思いをテキストにして彼に送ったものを、一部引用しながら構築していくという共作に近い制作方法が行われたという。ラップではなく、全編メロディを歌うことにチャレンジしたNovel Coreにとっても、FAKYというグループを離れてソロ・アーティストとしてフィーチャーされたHinaにとっても、新境地となる作品である。

 ギターが印象的なトラックは、本楽曲のプロデューサー/トラックメーカーであるTiny Voice ProductionのUTAによるもの。前回のインタビューでNovel Coreが、自身の頭の中にあるイメージ──夕暮れ時の、昼とも夜ともいえない曖昧な時間帯の光景をまずはUTAに伝え、それをサウンドに落とし込んでもらったと語っていたように、次の瞬間には全てが変わってしまうような、劇的な心象風景が見事に音像化されている。

 本楽曲で、ミュージック・ビデオのディレクターを務めたのは、上海出身の月神ユエ。イギリスで建築を学ぶなど様々な文化を体験しており、感情の動きなど、繊細な部分の表現に長けた映像作家だ。

 「今回は僕とHinaの心象風景を映像にしたくて、それを打ち合わせの段階で監督にリクエストしたら、とてもいい感じに具現化してくださいました。オープニングの長回しや、2人の影を利用した演出法など、一つひとつにすごく意味があって。僕たちが歌詞の中で表現しきれなかった空白の部分を映像で埋めてくださったというか、『そんなふうに描写してくれるんだ!』と思うところがたくさんありました」(Novel Core)

 Novel Coreがそう話すように、MVでは「現実世界」と「内面世界」という2つのシークエンスによって構成されている。「現実世界」では、Novel CoreとHinaがそれぞれ一人きりで、昔一緒に歩いた街並みを歩いている姿をカメラが追う。ショーウィンドウには並んで歩く二人の影が映っているが、カメラが回り込むとそこにはNovel Coreしかいない。そんなオープニングの長回しによって、すでに2人がそれぞれ別の道を歩んでいることが一瞬にして伝わってくる。

「実はあのシーン、実際にHinaと僕で道を歩いている姿がショーウィンドウに映り込んでいるんです。で、カメラが回り込でくる間にHinaがパッと走り去って、僕一人が映るようにしている。おそらく合成技術を使ってしまう事も出来たであろうこのシーンを、あえて手間をかけて撮ってくださっていて。それによって説得力のあるリアルな映像になっているのだと思います」(Novel Core)

  一方「内面世界」は、スタジオに設置されたNovel CoreとHina、それぞれの部屋によって表現されている。ほぼ同じ空間を、ライティングと美術によって差別化しているが(Novel Coreの空間は昼間を、Hinaの空間は夜を表現)、2人が手に持っている置時計が同じだったり、身につけているのが鍵と錠をモチーフにしたペアネックレスだったり、実は今も繋がっているモノがある。それはおそらく2人の「思い出」や、「感情」の象徴だろう。彼らは二分割した画面のそれぞれの「内面世界」で、最初は反対の方向を向いて歌っているが、曲が進むにつれて同時に窓の外を眺めたり、向き合って歌うようになったり、少しずつ目に見えぬお互いの存在を感じるようになっていく。

 楽曲の前半では、この「現実世界」と「内面世界」がカットバックされるが、中盤からはそこに海辺のシークエンスが重なっていく。波打ち際をNovel CoreとHinaがすれ違う、どこか現実離れしたその映像は果たして「現実世界」なのか「内面世界」なのか。ひょっとしたら、2人が最初に出会った瞬間、もしくはいつかどこかで再会する瞬間を「映像化」してみせているのかもしれない。向き合う2人の影だけが寄り添い合うなど、ファンタジックな描写が施されていることからも、ただの「現実世界」ではないようだ。

 この海辺のシーンは九十九里浜にてロケ撮影が行われている。月神ユエによる企画書の段階では、このシークエンスも街中で「現実世界」として撮影される予定だったが、海辺に変更したことが功を奏し、映像に様々な解釈の幅を持たせることに成功している。海辺のシークエンスを、観るものがどう捉えるかによって、作品そのものの感じ方も変わってくるからだ。

  奇しくも、この九十九里浜での撮影日のちょうど1年前が、『オオカミちゃん』で2人が出会った日だったという。

 「そのことに前日に気づいたんです。今、僕もHinaも忙しくてなかなかスケジュールが合わせられなくて。スタッフさんにうまく調整していただき、ようやく決まった撮影日がたまたまそうなるってすごいなと。それは本当にびっくりしました」(Novel Core)

「FAKYのMVはダンスシーンがメインの場合が多いんですけど、今回は私たちの演技が大事な要素になっています。なので、今の自分にできることを全て詰め込むつもりで臨みました。『オオカミちゃん』をやっていた時の気持ちを思い出したくて、前日に番組を全て観直したんですよ(笑)。そしたらちょっと、気持ちが高まり過ぎて大変でしたね」(Hina)

 「内面世界」でHinaがいる空間に飾られた絵は、月神ユエが描いたもの。よく見ると、海辺でNovel CoreとHinaが出会う瞬間をモチーフにしているのが分かる。空には大きな月が浮かんでいるが、絶妙に満ちていないこの月は一体何を意味しているのだろうか。

 そんな細部にまでこだわり抜いた「天気雨」のミュージック・ビデオは、観るたびに新たな発見があるはずだ。

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