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クレイグ・デイヴィッド『ジャパン・コレクション』発売 & 来日記念特集 ~第二の黄金期を謳歌する華麗なるキャリアを辿る~



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 2ステップ界の貴公子として2000年に鮮烈なデビューを飾ったクレイグ・デイヴィッド。世界的な成功を収めた後に生まれ育ったUKを離れてアメリカへと移り、優雅なセレブライフを送っていた彼は、近年、再び本国に戻ってデビュー当初のようなアグレッシヴな音楽を次々に送り出し、見事な復活を遂げている。アートフル・ドジャーの「Re-Rewind」でのブレイクから20周年を迎えようといういま、クレイグは第二の黄金期を謳歌している。そしてこの度、日本独自企画アルバム『Craig David Japan Collection』をリリースし2月には8年ぶりの来日公演を果たす。イビサで大人気の彼のパーティー「TS5」が日本上陸するこの機会に、彼の華麗なるその足跡を辿ってみよう。

アッシャーにも匹敵する巧みな節回しで真向からR&Bで勝負したデビュー

 クレイグ・デイヴィッドはUKソウル/R&Bの系譜に位置するシンガーの中でも特別な存在だ。世界的に見ても稀なアーティストと言ってもいいかもしれない。彼はロンドンのダンス・カルチャーの中でデビューを掴みながらも、決して一過性の流行に呑まれることなくR&Bにこだわり続け、それでいて時代の音楽を敏感にキャッチするアンテナを持ち、新しいサウンドを自らの歌声に引き寄せてしまう。ヒップホップ世代のシンギング・スタイルを会得しながらトラディショナルなソウルへの造詣が深く、DJの素養も併せ持つ。時代性とソウルの伝統に加えてロンドンという場所性をも感じさせるその音楽は、20世紀がまさに幕を閉じようとする瞬間に産声を上げた。

 イギリス南部のサウサンプトンに生まれた彼は、十代半ばにして90年代に人気を誇っていたUKのR&Bボーイズ・グループ、ダメージの楽曲提供コンテストに優勝。クレイグの書いた曲は見事採用されることになったものの、若すぎた彼に思うように仕事が舞い込むことはなく、その後はDJ/MCとしてクラブで活動するようになった。そんな頃に出会ったアートフル・ドジャーと作り上げたのが彼ら名義の「Re-Rewind」、つまり2ステップを広く浸透させるきっかけとなった金字塔的ナンバーである。

 DJをセレクタと呼ぶロンドンらしいMC、軽やかでありながら強靭なビート、そして小粋なヴォーカルが絶妙なバランスを保つこの曲のヒット(1999年)を受けて、クレイグは翌2000年にデビュー。2ステップのビートを身にまといながらも、アッシャーにも匹敵する巧みな節回しで真向からR&Bで勝負したソロ・デビュー曲「Fill Me In」は、チャート首位を獲得した本国のみならず、アメリカでもポップ・チャート15位にランクインするヒットとなった。後にジャスティン・ビーバーが「Recovery」で同曲を引用していることからも、この曲がシーンにもたらした影響は決して小さくないことがわかる。



▲Craig David「Fill Me In」

 セカンド・アルバム『Slicker Than Your Average』ではスティングとデュエットするなど順調にキャリアを重ね、UKガラージや2ステップといった括りから離れてより自由に音楽の海を泳ぎ始めたクレイグは、ときにレトロスペクティヴなアプローチでソウル・シンガーとしての深化に努め、2010年にはモータウンの往年の名曲を取り上げたアルバム『Signed Sealed Delivered』をリリース。もっともこうしたカヴァーもまた時代のムードと自らの音楽に対する欲求に従った結果に過ぎず、一方ではカラーズのUKガラージ曲「Hold On」をネタ使いした「Where's Your Love」や、EDMとの接近・融合を模索する00年代のR&Bシーンの空気を的確に読み取った「Insomnia」(ともに2008年発表の『Greatest Hits』に収録)のような熱いアップも生まれている。



▲Craig David「Insomnia」

 『Signed Sealed Delivered』をリリースした後、クレイグはフロリダへと移住。スポーツカーを乗り回すセレブライフを愉しみながら、自分の原点でもあるDJに再び向き合い、毎週日曜日にマイアミの自宅で自身のパーティ=TS5をスタートさせると、話題が話題を呼んでラジオ放送のオファーが舞い込み、やがて世界各地で開催されるまでに成長。いまではイビサの人気プール・パーティとしてその名が知れ渡っているほどだ。忙しすぎた生活からの半ば逃避先として選んだフロリダがアーティストとしてのステップアップをもたらしてしまうのだから、この男は並みじゃない。



▲Craig David presents TS5 | Tomorrowland Belgium 2018

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華麗なるカムバック

 TS5の成功を機に、ロンドンへと舞い戻った彼はアルバム制作を本格的に再開。2016年には、グライム・ラッパーのビッグ・ナスティーをフィーチャーした「When The Bassline Drops」のようなガラージ・チューンや、EDMにピアノを加えたトロピカルなダンス・サウンドで人気を博しているDJ/プロデューサーのシガーラを起用した「Ain't Giving Up」など、デビュー当時のスタンスを思い起こさせるような刺激的なナンバーにあふれたアルバム『Following My Intuition』をリリース。純粋なオリジナル・アルバムとしては9年ぶりとなるこの作品が、デビュー・アルバム以来となる全英アルバム・チャート首位に輝いた。



▲Craig David「Ain’t Giving Up」

 再び勢いに乗ったクレイグは2018年に『The Time Is Now』を発表。UKロック・バンドであるバスティルとの共演作「I Know You」や、ジ・インターネットやアンダーソン・パークなどを手掛けてきたカナダ人トラックメイカーのケイトラナダとのタッグによる「Live In The Moment」、2018年を代表するR&Bの歌姫となったエラ・メイとの絶品デュエット「Talk To Me Pt.II」を含むこちらもUKチャート2位という素晴らしい成果を上げている。アートフル・ドジャーとの「Re-Rewind」のブレイクから数えると20年のキャリアとなる彼はいま、第二の黄金期を迎えているのだ。



▲Craig David「Heartline」

 そんなクレイグが来る2月18日に世界で好評を博しているTS5をついに東京で開催。8年ぶりとなる今回の来日公演を記念し、このたび日本独自企画アルバム『Craig David Japan Collection』が発売された。デビュー曲「Fill Me In」や「Rewind」(「Re-Rewind」から改題)、「7 Days」、「Insomnia」といった00年代のヒット曲はもちろん、これまで触れてきたほとんどの曲を含む近作2枚から選りすぐりのナンバーをたっぷり詰め込んだ豪華盤となっている。

 と、ここまで読んでもまだクレイグの凄さが伝わって来ないのであればぜひ次の動画を見ていただきたい。これは、BBCのシチュエーションコメディに登場するガラージ系海賊ラジオ局コラプトFMがBBCラジオの番組をジャックするという企画で、クレイグはゲストとしてパフォーム。最初は「Fill Me In」をオリジナルのトラックで歌い出すのだが、途中で歌うのをやめた彼は「2015、16年風が必要だ」と言って、この年にヒットしたジャックU(スクリレックス&Diplo)・ウィズ・ジャスティン・ビーバーの「Where Are U Now」のトラックをバックに「Fill Me In」を完璧に乗せてみせ、その場にいた面々を驚かせるのだ。ここでの速射MCはもちろん歌部分も含めたビートへの的確な対応には鳥肌が立つほど。彼のスキルもセンスもまったく衰えていない証左となるこの曲のスタジオ録音版「16」も、『Craig David Japan Collection』に収められている。



▲Kurupt FM Takeover feat. Craig David and more

 

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