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映画『ラ・ラ・ランド』に出演、楽曲提供、エグゼクティブ・プロデューサーも務めるジョン・レジェンドの魅力に迫る

JohnLegend

 グラミー賞10冠、2016年にはアカデミー賞主題歌賞の受賞歴も持つシンガー・ソングライター/ピアニスト、ジョン・レジェンド。2016年12月7日に約3年ぶりの新作『ダークネス・アンド・ライト』をリリースし、ミュージシャンとしても飛躍し続ける中、本日(2017年2月24日)に日本公開された話題の映画『ラ・ラ・ランド』に俳優として出演。さらに楽曲提供、映画のエクゼクティブ・プロデューサーまで務め、その活躍の幅を広げている。そんなレジェンドの躍進を通して見えてくるのは、1人の音楽家、という立場を越えて、様々な形でアート、そして社会と関わろうとする彼の“人間力”だ。今回は、ジョン・レジェンドという人物の魅力について、まずは昨年の最新作『ダークネス・アンド・ライト』から振り返ってみたい。

Top Photo: © 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

愛に溢れた新作『ダークネス・アンド・ライト』

 カニエ・ウェストのレーベル「G.O.O.D.ミュージック」の第一弾アーティストとして2004年、アルバム『Get Lifted』でデビューして以来、これまでにグラミー賞10冠という実績を誇るジョン・レジェンド。ソウルフルでありながら、様々な音楽のスタイルにフレキシブルに適応する彼は、デヴィッド・ゲッタやセルジオ・メンデス、トニー・ベネットなど、ジャンルを越えた多くのアーティストから重宝されてきた。

CD
▲『ダークネス・アンド・ライト』

 そんなレジェンドが、2016年12月7日にリリースした新作『ダークネス・アンド・ライト』は、最愛の妻との間に愛娘ルナを授かり、父親として初めての、愛に溢れた作品となった。アルバムのタイトル(=「闇と光」)も、娘の名前:ルナ(Lunaは暗闇を照らす<月>を意味する)からも、インスピレーションを受けている。

 同作は、デビュー以来の付き合いであったカニエ・ウェストが一切関与していない初のアルバムとなり、彼にとっての独り立ちの作品といえる。プロデューサーには、アラバマ・シェイクスのアルバム『サウンド・アンド・カラー』でもプロデューサーを務めた新鋭ブレイク・ミルズを起用。また、実力派R&Bシンガーのミゲルや、【第59回グラミー賞】で最優秀新人賞を獲得したチャンス・ザ・ラッパーなどが参加。更に、生楽器演奏をフィーチャーするためにベースにピノ・パラディーノ、ドラマーのクリス・ダディ・デイヴ、サックスにカマシ・ワシントンといったセッション・プレイヤーを迎えて制作された。レジェンドは、このアルバムに込めた想いを大統領選直後の本国でのアルバムリリースイベントの際に下記のようにコメントしている。

 「先日の大統領選で国民が選択した道に対して、多くの人々が疑問や不安を抱いていると思う。そんななかで僕がこの『ダークネス・アンド・ライト』で伝えようとしているのは、たとえ世の中でなにが起こっても僕らには愛がある、ということ。愛し合う人がいて、守るべき人がいて、大切にしなければならない人がいる、というメッセージだ。それと同時に、戦うことにはどんな意味があるのか、意見を主張することにはどんな意味があるのか、そして、そうするだけの価値はあるのか、ということも問い掛けている。僕自身、その答えは『イエス』だと思っているよ」――ジョン・レジェンド

参考:ジョン・レジェンド、約3年ぶりの新作『ダークネス・アンド・ライト』発売記念特集


▲John Legend - Love Me Now


映画界、そして社会活動でも花開くレジェンドの思い

 人々の人生を照らす光。『ダークネス・アンド・ライト』に込めたレジェンドの思いは、近年、映画界でも花開いている。これまでもTV番組や映画で、時には本人役として出演してきたレジェンド。そんな彼の映画界との関わりが大きく注目されたのは、2014年にアメリカで公開されたキング牧師と公民権運動をテーマに描いた映画『グローリー/明日への行進』(日本公開は2016年)でのことだった。

 同作でレジェンドは、コモンとコラボレーションした主題歌「グローリー」を発表、2016年アカデミー賞主題歌賞を受賞した。同作は60年代の公民権運動と現代の「Black Lives Matter」ムーヴメントを重ね合わせたメッセージが高く評価され、【ゴールデングローブ賞】でも最優秀オリジナル・ソング部門を授賞。また、【放送映画批評家協会賞】でも最優秀楽曲を授賞し、映画界からの極めて高い支持を得る結果となった。

 また、「グローリー」は、2014年にアメリカ・ファーガソンで起こった白人警官による黒人青年射殺事件についても言及されたプロテスト・ソングとしても話題となった。【アカデミー賞授賞式】で披露されたコモンとジョン・レジェンドによるライヴ・パフォーマンスとスピーチは、会場にいた観客だけでなく世界中を大きな感動で包んだ。

 「ニーナ・シモンはかつて言いました、“自分たちが生きている時代や現状を作品に反映させる、それがアーティストの務めだ”と。この映画は50年前に起こったことを題材にしたものですが、“セルマ”はまさに私たちが生きている今も、起こっているのです。自由と公正のための闘争は今もなお現実に起こっているものなのです。」――ジョン・レジェンド

※セルマ:映画『グローリー/明日への行進』の原題。


▲Glory (From the Motion Picture Selma) Oscar Performance


「グローリー」によって、自ら発信するメッセージ性の高さや人間性に注目が集まったレジェンドだが、実はそれ以前から様々な社会的な活動に力を注いでいた。レジェンドは、自身のキャリアを積む中で、“他人の暮らしにも変化をもたらす”取り組みをしてきた。2007年には「ショウ・ミー・キャンペーン」という、貧困の連鎖を断ち切る鍵として教育に焦点を絞った活動を発足し、その努力とリーダーシップが称えられ、人道主義における数多くの賞を受賞。また、教育の平等を目指すプログラムの役員会メンバーを務める他、現在私たちが住んでいる世界をより的確に反映した学習過程を築こうとするLRNG運動も支援している。さらに、2015年には、「#フリーアメリカ」運動をスタート、アメリカの間違った政策に関する全国的な対話に変化をもたらし、アメリカの刑事司法制度を変えることを目指す運動に注力している。こうした活動の裏側には、ミュージシャンになる前の経営コンサルタント会社で働いていた経験も活きているのかも知れない。

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出演、楽曲提供、エグゼクティブ・プロデューサーまで務める映画『ラ・ラ・ランド』

 レジェンドの最大の資質の一つは、アーティストとしてだけではなく、ビジネスマンとしての才覚にも優れていることだ。彼は、ロサンゼルスにある映画・テレビ制作会社「ゲット・リフティッド・フィルム・カンパニー」の代表者の1人を務めている。同社は、HBO、MTV、フォックスなど、数多くのTVネットワークに複数のテレビ番組を提供、レジェンドはHBOのドキュメンタリー番組『Southern Rites』や。ポップ・ネットワークの連続ドキュメンタリー『Sing it On』、2016年3月からWGNでスタートした『Underground』など、社会的意義の高い作品の多に、エグゼクティブ・プロデューサーという立場で関わっているのだ。

 そして今、特に話題となっているのが俳優として出演、ミュージシャンとして楽曲提供、そしてエグゼクティブ・プロデューサーまでを務めた映画『ラ・ラ・ランド』だ。本作は、先日の【第74回ゴールデングローブ賞】で史上最多7部門を受賞。また、【第89回アカデミー賞】では、1997年の『タイタニック』に並ぶ史上最多14ノミネートという快挙を遂げ、本命候補と見なされている。

 本作は、映画『セッション』でアカデミー賞3部門に輝いたディミアン・チャゼル監督によるミュージカル映画。主役をライアン・ゴズリングとエマ・ストーンが務めており、ロサンゼルスを舞台に女優を目指すミア(エマ・ストーン)とジャズピアニストを目指すセブ(ライアン・ゴズリング)の恋がロマンチックな歌とダンスで描かれる。この映画の中で、レジェンドは、セブが“ジャズを聴かせる店”を持つという夢を叶えるために入ったバンド、“ザ・メッセンジャーズ”のリーダーでありヴォーカル兼ギターを務めるキース役を演じ、作品でも重要な役割を果たしている。


▲「ラ・ラ・ランド」本予告


 今回、自身初となるミュージシャン役での映画出演を果たしたレジェンド。普段はピアノの弾き語りが特徴だが、今作ではギターを持ちバンドのヴォーカルとして歌う役を演じており、ファンにとっても貴重なレジェンドの姿を見ることができる。米ビルボードが行ったインタビューでレジェンドは、この作品のためにギターのレッスンも受けたと語っており、自身にとって挑戦の役となったようだ。




 監督のディミアン・チャゼルから本作に関してミーティングをしたいと話を受けたときには、「まさか自分が出演することになるとは思っていなかった、きっと映画の曲を書いてほしいとかエグゼクティブ・プロデューサーの依頼だと思っていた」と話し、そのミーティングの後に監督から「映画の台本を見てほしい」「キース役には本物のミュージシャンとしての考え方を持っている人物に演じてもらいたい」と思いを伝えられ、引き受けることになったという。



 レジェンドが『ラ・ラ・ランド』に提供した「スタート・ア・ファイア」は、当初監督から“ジャズを感じる楽しい曲”というテーマの指示を受けたという。だが、実際に制作を進めていく過程で、ジャズよりもポップに重心を置かなければいけないと考えるようになり、現在の形に至ったという。作品のストーリーや登場人物の気持ちを考慮しつつ曲作りをし、その曲を自身が演じる役で歌うというプロセスは、一流のミュージシャン/アーティストであるレジェンドだからこそ実現可能となったといえるだろう。なお、現地時間2017年2月26日に行われる【第89回アカデミー賞】では、レジェンドが主役の2人に代わって本作から2曲「オーディション(ザ・フールズ・フー・ドリーム)」と「シティ・オブ・スターズ」をパフォーマンスすることも決まっている。


▲La La Land (2016 Movie) Official Trailer – 'Start A Fire’


 また、同じインタビューでは、自身のロールモデルはクインシー・ジョーンズだと語るレジェンド。そのクインシーから受けた影響もあって、これまでも様々な曲作りやプロデュースを手掛けてきた彼だが、この映画に関わったことで、今後、自分にとって何かインスパイアされるテーマや出来事があればミュージカルも書いてみたいと考えるようになったと語る。更に、レジェンドは ディズニーの名作アニメを実写化した映画『美女と野獣』の主題歌をアリアナ・グランデと担当し、こちらも2017年4月21日の公開に向けてすでに世界中で話題となっている。映画界での飛躍、そしてミュージシャンの枠を大きく超えた領域で活躍し、その才能を様々なフィールドを広げているジョン・レジェンドのこれからに、更に期待したい。


▲「美女と野獣」日本版本予告

Photos: © 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

ジョン・レジェンド「ダークネス・アンド・ライト」

ダークネス・アンド・ライト

2016/12/07 RELEASE
SICP-5140 ¥ 2,592(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.アイ・ノウ・ベター
  2. 02.ペントハウス・フロア (feat.チャンス・ザ・ラッパー)
  3. 03.ダークネス・アンド・ライト (feat.ブリタニー・ハワード)
  4. 04.オーヴァーロード (feat.ミゲル)
  5. 05.ラヴ・ミー・ナウ
  6. 06.ホワット・ユー・ドゥ・トゥ・ミー
  7. 07.シュアファイア
  8. 08.ライト・バイ・ユー(フォー・ルナ)
  9. 09.テンポラリリー・ペインレス
  10. 10.ハウ・キャン・アイ・ブレイム・ユー
  11. 11.セイム・オールド・ストーリー
  12. 12.マーチング・イントゥ・ザ・ダーク
  13. 13.ドローイング・ラインズ <ボーナス・トラック>
  14. 14.ホワット・ユー・ドゥ・トゥ・ミー (ピアノ・デモ) <ボーナス・トラック>
  15. 15.ラヴ・ユー・エニウェイ <ボーナス・トラック>

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